武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

スコットランド紀行(2010年夏)

スコットランド紀行(3)~アイル・オヴ・ウィッソーン

投稿日:2010年9月5日 更新日:

スコットランド西部の港町オーバンから一気に南下して、ギャロウェイ地方のアイル・オヴ・ウィッソーン(Isle of Whithorn)という海辺の村に来ました。
ローランドの一番南、緯度的にはイングランド北部よりも南に位置しています。
ルートは以下のとおり。
オーバンから列車でグラスゴー(クイーンズ駅)へ、中央バスステーションからバスで南部の中心都市ダムフリーズへ向かいました。
ダムフリーズでバスを乗り換え、ニュートン・スチュワートで下車し、こんどは小型のローカルバスでアイル・オヴ・ウィッソーンにたどり着きました。
午前8時11分に出て、午後5時すぎに到着。
約200キロの移動です。
この日は完全に移動日になってしまいました。
アイル・オヴ・ウィッソーンは人口400人ほどで、現地の説明板には、コミューン(共同体)となっていました。
港に面したところにはカラフルな石づくりの家屋が立ち並んでいますが、宿屋が2軒、パブも2軒(1軒は閉まっていました)しかありません。
スコットランド(3)
どうしてこんな片田舎に来たのかというと、5世紀のはじめスコットランドで最初にキリスト教(ケルト教会)をひろめたという聖ニニアンの足跡を訪ねるためでした。
観光地でないごく普通の町や村に来ると、ぼくはたまらなく心が和みます。
ワンちゃんも気持ち良さそうに窓際でうたた寝しています。
スコットランド(1)
廃屋となった聖ニニアンのチャペルが岬に悄然と建っていました。
スコットランド(5)
大きな牛たちが草を食んでいる牧場のなかにあり、勝手にサクを開け、糞を避けながら、チャペルに入りました。
スコットランド(4)
なかに中年の男性がいてびっくり。
相手も驚いていました。
散歩に来ていた住人です。
「ここに来た日本人は初めて」と言っていました。
これまでの「ケルト」紀行でも、よく耳にしたフレーズです。
来た理由を問われ、「ケルト」に興味があるからと返答したら、その男性は何とも柔和な笑みを浮かべました。
岬の先端に近づくにつれ、海風がしだいに強くなってきました。
立ってられないほど。
スコットランド(6)
「あそこに浮かんでいるのがマン島ですよ」
風を避けようと、小さな灯台の陰に入ったら、こんどは40前後の男性がちょこんと壁際に座っており、気さくに話しかけてきました。
南方の海上に望める黒っぽい島影がマン島なのか……。
スコットランド(2)
「ケルト」の取材で2度行ったことがあり、急に懐かしさがこみ上げてきて。
この人、アイル・オヴ・ウィッソーンのことをわかりやすい英語でいろいろ教えてくれました。
地名でわかるように、もとは島でしたが、砂州がつながり陸続きになったとか。
先ほどの住人とイントネーションが異なっていたので、どこから来たのかと訊くとリヴァプールの人でした。
お母さんの実家に久しぶりに来たと言っていました。
スコットランド人の血を引き継いでいるはずなのに、本人はイングランド人だと自覚しているみたい。
「ここはあまりスコットランドらしくないですね」
この男性の言うとおり、たしかに穏やかな風情はイングランドにそっくり。
でもスコットランドがいっぱい目につきました!
紫色のアザミの花が岬に咲き誇っていたから。
スコットランド(7)
スコットランドの国花ですよね~♪

-スコットランド紀行(2010年夏)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。