朝、目覚めると、寒い、寒い。
気温は8度。
シャワーで体を温めてから、ホテルのパブでスコティッシュ・フル・ブレックファーストを満喫しました。
イングランドの朝食よりはるかにボリュームがあり、「スモール」をオーダーしましたが、それでもこれを完食すると、昼飯は不要、ビールだけで済みます〜(笑)
隣席のアメリカ人青年は「こんなん毎朝食べてたら、体に悪いんちゃう」。
多分、こんなことを言うてたと思います(笑)
チェックアウト後、リンリスゴー駅から鉄道(Scot Rail)で、北海に面する北東部の都会、アバディーン(Aberdeen)へ。
距離にして約148キロ(大阪〜岐阜県と同じ)ですが、運賃が48ポンド(約9,600円)。
やっぱり高いかな。
物価を見ると、現地の人は1ポンド=100円の感覚に思えてきました。
為替ルートは1ポンド=約200円なので、日本人にはすべて倍に感じられます。
えらいこっちゃ(笑)
コーチ(長距離バス)はかなり割安ですが、一度、この路線を利用したかったので、あえて鉄道を選びました。
列車は、スコットランド独立の地ファルカーク(Falkirk)を経てスターリング(Stirling)へ、そこでインターシティに乗り換えて一路、アバディーンへ。
初めてイギリスを訪れた1978年は経済沈滞による「英国病」に苦しんでいた時期で、鉄道の車両はかなり汚かったです。
座席に座ると埃だらけで、窓を開けると手に油がべっとり。
しかし昨今の車両は、見違えるほどにキレイ。
やはり国力(経済力)が関係しているのでしょうね。
でも、ガラガラです。
車窓ののどかな風景を眺め、あれこれ考えながら、鉄道の旅を楽しんでいます。
実にスムーズで、あれ以来、「えらいこっちゃ」がありません(笑)。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
正午前、アバディーン駅に到着しました。
アバディーンは、グラスゴー、エディンバラに次ぐスコットランド第3の都市ですが、人口は20万人程度。
しかし北海油田の採掘が始まってから産業都市として再興し、結構、活気が感じられました。
14年前、拙著『スコットランド「ケルト」の誘惑〜幻の民ピクト人を追って』(言視舎)の取材で、シェットランド諸島からフェリーでこの街の港に着いたんですが、すぐにグラスゴーへ移動したので、ほとんど記憶に残っていません。
どうしても訪れたいところがあり、駅前の古風なホテルに投宿したところ、運悪くエレベーターが故障中で、たまたま女性スタッフしかおらず、4階の部屋までトランクを提げてえっちらおっちら階段を上っていきました。
あ〜っ、しんど。かなりバテた。
つくづく年を実感させられましたわ。
行きたかったところは、明治維新、日本の近代化に貢献したトーマス・グラバー(1838〜1911)の家です。
13歳から来日する19歳までの6年間暮らしたその家は、アバディーンの北郊にありました。
父親が沿岸警備隊員だったそうです。
「Scottish Samurai(スコットランドの侍)」と門柱の記念碑に記された家は、広い敷地の中に建つ2階建て家屋でした。
グラバーが三菱の顧問になったことで、1997年に三菱重工が家を買い上げ、アバディーン市に寄贈したそうです。
しばらく博物館だったんですが、来訪者が少なく、閉鎖されたとか。
長崎のグラバー邸は訪れたことがないのに、スコットランドのグラバー邸に足を運ぶなんて、何だかけったいですね。
向こうは有名な観光スポットで、こちらは忘れられた存在……。
こういうのにぼくは惹かれます(笑)
グラバー邸の訪問は、4つの目的の1つではありませんので。
話は変わって、生まれて初めて、超贅沢なビールをアバディーンのパブで味わいました。
朝飯がヘビーだったので、ランチ代わりにオーダーした「アボット・エール(Abbot Ale)」。
ワンパイントが、何と10ポンド=2,000円〜!!!
まさかこんな高いとは思わなかった。
値段を訊いてからオーダーすべきでしたが、信じられないほど芳醇で、超プレミアだと納得した次第。
夜は、スコットランド郷土料理のハギス(Haggis=羊の臓物煮込み)を別のパブでいただきました。
それがフリッターにしたもので、特製のウイスキーソースが添えられていました。
「ハギスをこんなスタイルで出しているのはうちだけとちゃうかな」と若いバーマン。
少しマスタードの風味がする独特なソース。
レシピは?
「それは言えまへん」
ハギスが2つあったので、もう1つにシングルモルトウイスキーのグレンモランジX年(メニューにこう書いてありました)を注いだら、やはり風味が引き立ちました。
ハギスはウイスキーに合いますなぁ。
よくよく考えたら、こちらに来て、肉けの食事が多すぎる。
あゝ、野菜の煮物、食べたいなぁ〜。