武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

日記

死者を弔うこと~

投稿日:2009年3月1日 更新日:

納骨堂
早いものできょうから3月。2009年の6分の1が過ぎてしまいました。春が目前です。
そんななか、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』が凱旋公開され、映画館が結構、にぎわっているそうです。納棺師を主人公にした映画とあって、死の問題に関心をもつ年配者が多いらしいですが、ぼくももう一度、観たいと思っています。
若かりしころは、たしかに死を忌まわしいものと受け止めていました。でも、「ケルト」の文化と出会い、古代ケルト人が死後の世界と行き来できるという死生観をもっていたのを知ると、死がすごく身近なものに感じてきたんです。
死は生の証しそのものなんや、生きていることと死はつながってるんや~。あれこれ考えることが増え、死をタブー視することがまったくなくなりました。だからブログでも、こんな文章を抵抗なく書けるんです。
この写真、一見、グロテスクでしょ。頭蓋骨を中心に人骨がところ狭しと並べられてあるのですからね。8年前に訪れたオーストリア中部ハルシュタット村にある納骨堂のなかです。湖と山にはさまれた狭い土地ゆえ、墓地をつくるスペースがなくなり、こんな形で納骨しているんです。
これは古代ケルト人の遺骨ではなく、中世のゲルマン系の人たちのものです。生前に愛した家族の名前、十字架、色とりどりの草花や動物などが頭蓋骨に記されています。
納骨堂に入ったとき、あまりの不気味さに足がすくみました。しかししばらくすると、遺族の深い愛情が感じられ、キリスト教の世界であることなどすっかり忘れ、ぼくはお寺でお参りするような格好で自然と合掌していました。
死者へのいたわり、思いやり……。どこの国でもおなじなんですね。ほんま、死は尊いもの。だからこそ精一杯生きなあかんのです~よね。

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。