武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

日記

観光地化する新世界

投稿日:2009年1月12日 更新日:

shinsekai_090112昨日(1月11日)、寒風のなか、今宮戎に行って参りました。「残りえびす」です。大学の教え子が福娘として笹を売っていたのを見て、今年は幸先がいいと思いました。
ほんわか気分での帰り、通天閣が眼に飛び込んできました。
「あっ、ビリケンさんにお参りせなあかん! 忘れてた!」
そう、ぼくは毎年欠かさず、新たな年を迎えると、通天閣の展望台に鎮座しているビリケンさんにいろいろ祈願してるんです。大阪では「ビリケンさん」と必ず「さん」をつけます。なんたって、現世利益を叶えてくれる神サンですからね。それもアメリカ生まれの! 
というわけで、本日、昼すぎに新世界へ駆けつけました。今宮戎とか新世界とか、ほんま、ぼくはディープな浪花っ子丸出しやと実感した次第。はるか遠くヨーロッパの「ケルト文化」に惹かれるぼくとは、また別の顔があるんです。
で、通天閣の下にたどり着いたら、なんと長蛇の列でした。「展望台へは40分の待ち時間」の張り紙。イラチのぼくには耐え難い時間です。こういう場合、さっさとあきらめ、「明日にしよ~!」と気持ちを切り換えます。
祝日(成人の日)とはいえ、新世界が存外に賑わっていました。そぞろ歩きながら歩行者の話し言葉に耳をそばだてていると、大阪弁以外の言葉ばかり。なるほど、観光客然とした人が多い。しばらくすると、「JTBエース」の小旗を振る添乗員のあとをぞろぞろとついて歩く団体さんもいました。
ひと昔前では考えられない光景です。観光客が増えることは、地域振興のため、引いては大阪のためにも良いことだと思います。ただ、観光客の増加につれて、串カツ屋さんがどんどん目立ってきました。昨年より格段に増えています。いまや新世界=串カツの街にすらなっているほどです。
同じ色に染まっていくと、街の個性がなくなってしまうのでは……。『寅さん』『シェーン』『眠狂四郎』と信じられない3本立てを上映していた映画館、新世界公楽劇場や演芸場などがなくなり、新世界らしさが希薄になりつつある現状に、時代の流れとはいえ、ちょっぴり憂いを覚えています。
スマートボール屋さんが健在だったのが妙にうれしかったです。

-日記

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。