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8月 25

英国での実話の映画化~『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

どん底状態にあえぐストリートミュージシャンの青年と猫の物語。

英国で話題になった実話の映画化で、実際に注目された猫が堂々と“主演”を張っている。

監督はロジャー・スポティスウッド。

ジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は音楽の道を歩むも、ドラッグに溺れ、今やホームレス。

更生プログラムに励みながら、日々、ゴミ箱をあさっている。

そんな青年がNPO団体にあてがわれた住居に茶トラの野良猫が迷い込む。

名はボブ。ケガを負ったその猫を彼が治療したことで距離がグンと狭まる。

さり気ない出会いが心地よい。

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

繊細な心を持つジェームズは傷つきやすい。

しかも孤独。

それを癒やしてくれるボブは単なるペットではなく、心を許せる相棒として絆を強めていく。

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

猫が登場する映画は結構、多い。

その中でこの猫と立ち位置がよく似ていたのがオードリー・ヘップバーン主演『ティファニーで朝食を』(1961年)の名無しの猫。

ともに主人公の分身的な存在だった。

常にボブと一緒にいるジェームズ。

ガールフレンドのベティ(ルタ・ゲドミンタス)の協力を得て、次第に再生していく。

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

特に父親との修復がほほ笑ましい。

ボブは招福猫そのものだ。

肩に愛猫を乗せ、雑誌「ビッグイシュー」を販売する光景が新聞に掲載され、一躍、時の人に。

© 2016 STREET CAT FILM DISTRIBUTION LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.

5年前、本人の実体験を綴った本がベストセラーになった。

現在、推定11歳のボブは人間でいえば、60歳前後。

初老に入り、落ち着いた演技を披露している。

実の飼い主でない俳優にもよくなついていたのには驚いた。

本作は英国社会の断片を浮き彫りにしている。

しかしもう少し深く斬り込めば、ひと味違った社会派映画に仕上がっていたと思う。

ともあれ、空前の猫ブーム。

猫好きの人にとってボブはどのように映るのだろうか。

1時間43分

★★★(見応えあり)

☆8月26日(土)より大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほかで公開

配給:コムストック・グループ

(日本経済新聞夕刊に2017年8月25日に掲載。許可のない転載は禁じます)

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