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4月 15

あの4人が再びスクリーンを疾駆する~『T2トレインスポッティング』公開中

 

あの4人が帰ってきた!

 

英国北部スコットランドを舞台に鮮烈な青春群像を描いた『トレインスポッティング』(1996年)の続編。

 

質的に前作よりもグレードアップしている。

 

ピカレスク(悪漢)映画の代表作になるだろう。

 

 

薬物漬けの4人組が闇取引で得た大金を仲間の1人レントンが持ち逃げした。

 

1作目のこの結末から20年後、オランダで会計士になっていた彼が悄然と故郷に戻ってくる。

 

レントンに扮したイアン・マクレガーをはじめ前作と同じ俳優が4人を演じる。

 

スタッフも同じだ。

 

壮年になっても、彼らはパッとせず、相変わらず社会の落ちこぼれ。

 

そこが映画の〈芯〉になっている。

 

 

シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)は売春やゆすりで稼ぐ。

 

ジャンキーのスパッド(ユエン・ブレムナー)は家族から愛想をつかされ、孤独に苦しむ。

 

レントンは起業を図るも、うまくいかず、失意の淵に沈む。

 

みな空回りばかり。

 

そんな3人に比べ、殺人罪で服役中のベグビーだけは異常なほどにエネルギッシュだ。

 

 

レントンへの復讐に燃える激情的な暴力男に扮したロバート・カーライルの煮えたぎる演技は圧巻の一言に尽きる。

 

エディンバラの街を疾駆した青春時代の一コマを随所に挿入し、郷愁を添えて時代の変遷を意識させる。

 

その一方で、シュールな映像でスタイリッシュな味をかもし出す。

 

軽快なテンポも健在。

 

ダニー・ボイル監督の職人肌的な演出が冴える。

 

女性はたくましくなっているのに、4人はいつまでも青年のまま。

 

しかし物事を見る目が多少なりとも養われた。

 

それを生かし、再生を求めて始動するひたむきな姿を活写する。

 

だからこそ爽やかに感じるのだ。

 

彼らの今後の行く末はいかに?

 

ここまで来たら、20年後の熟年期に三度、同じ俳優を使って第3弾を撮ってほしい。

 

1時間57分

 

★★★★★(今年有数の傑作)

 

☆全国で公開中

 

(日本経済新聞夕刊に2017年4月14日に掲載。許可のない転載は禁じます)

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