世はマラソンブーム。
それもシニアから始める人が増えています。
かく言うぼくもその1人です~(^_^)
マラソン完走後の充足感は言葉で言い尽くせません。
この映画の主人公の気持ちがよくわかりました~(^_-)-☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
超高齢化社会に突入した先進諸国では、ここ数年、お年寄りパワーを描いた映画がめっきり増えてきた。
このドイツ映画もそう。
古希(70歳)を優に超えた主人公のパウルがフルマラソンに出場するのだから、間違いなくドラマになる。
といっても、この人、普通の市民ランナーではない。
1956年のメルボルン五輪の金メダリストなのだ。
元ヒーローという経歴が物語に重しを与えていた。
今やしかし、人生の晩年を迎え、病身の愛妻と共に、老人ホームに入所。
そこで目にしたのは無気力な入所者と事なかれ主義のスタッフの姿だった。
これは違う。そう思ったパウルは、老人は与えられた環境の中で穏便に生きるべしという固定概念に反発する。
そして昔日の雄姿を思い浮かべ、ベルリン・マラソンの完走を目指す。
「走りたい」
この気概と行動力に心が揺さぶられる。
その年齢で42.195㌔は非常に厳しい。
自分の限界に挑戦する熱き生き様をキリアン・リートホーフ監督が寄り添うようにして見据えた。
パワフル爺さんに扮したドイツの喜劇俳優ディーター・ハラーフォルデンは撮影当時、78歳。
週に3回ジムに通い、毎日ランニングを続け、9㌔減量して役に臨んだ。
これが初マラソン。
大したものだ。
パウルが現役時代と同様、コーチ役の妻と二人三脚で練習に取り組むシーンがほほ笑ましい。
「生」を発散させ、周りの者を元気づけていく。
何と爽やか!
ハイライトはレースの場面。
実際に走ったのは一部かもしれないが、競技場でウェーブが起きたのは俳優の力走ぶりを観客が目にしたから。
現実と映画が合致した感動的な瞬間だった。
てっきり実話と思いきや、そうではなかった。
それほど本作にはリアル感が充満していた。
素人ランナーの端くれとして大いに刺激を受けた。
1時間45分
★★★★(見逃せない)
☆3月21日(土) シネ・リーブル梅田、京都シネマ
3月28日(土) シネ・リーブル神戸
(日本経済新聞2015年3月20日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)