武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

南インド紀行(2015.2.14~27)

南インド紀行(13)~厚い信仰心

投稿日:2015年3月8日 更新日:

ラーメシュワラムの早朝。

 

どこからともなく、ヒンドゥ教の音楽が聞こえてきます。

 

その発信源は、ヒンドゥのラーマナータスワーミ寺院です。

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そばに近寄れば、スピーカーから大音響が迫ってきます。

 

ここだけでなく、あちこちで音楽の洪水に遭いました。

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インドに来て、まず思ったのが厚い信仰心です。

 

ヒンドゥ寺院の中はその信仰心を凝縮させたところです。

 

いろんな神々が祀られており、参詣者は熱心に拝んではります。

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リンガ(縮小)

正直、信者以外は近寄りがたい雰囲気が漂っています。

 

それほどまでに信仰にエネルギーを注いでいるのです。

 

大きなヒンドゥ寺院だけでなく、街中にある小さな祠にも手を合わせはります。

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沐浴場(ガート)で身を清める人をよく見かけました。

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日の出、日の入りに合掌する人たちも。

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シヴァ、ヴィシュヌ、ガラパティ(ガネーシャ)、サラスバティ(シヴァの奥さん)、クリシュナ(ヴィシュヌの化身)、ハヌマン(お猿さんの神)、ナンディ(シヴァ神の乗り物である牛)……。

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ヒンドゥの神々をあしらった彩色画がそこいらに貼られています。

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強烈な偶像崇拝です!!

 

信仰は完全に日常の一部に取り込まれているようです。

 

インドでは、ヒンドゥ教が圧倒的多数を占めていますが、イスラム教、キリスト教、シク教(信者はターバンを巻いています)、ジナ教といろんな宗教が混在しています。

 

仏教徒も、非常に少ないですが、います。

 

リクシャーに乗れば、フロントガラスに自分の信じる神の絵画が貼られています。

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家々の玄関もそうです。

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それはヒンドゥ教徒だけではありません。

 

ムスリムなら、コーランの一節を綴ったアラビア文字。

 

キリスト教徒なら、マリア像。

 

こんな具合に、だれもが自らの宗教を前面に押し出し、ある意味、自己主張しています。

 

日本では考えられませんね。

 

それでもインドと言えば、やはりヒンドゥ教です。

 

その中でもいろんな宗派に分かれているそうですが、それぞれ尊重し合っており、宗派間の「争い」はないそうです。

 

象を見たのは、寺院の中か門前町に限られていました。

 

聖なる動物です。

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そうそう、ラーメシュワラムのラーマナータスワーミ寺院でこんなことがありました。

 

寺院の中をブラブラ歩いていたら、ドーティ(腰巻き)が落ちていました。

 

ぼくがそれを拾って、受付にいた僧侶に「落し物ですよ」と言うと、意外な答えが返ってきました。

 

「それはあなたのもの。あなたが拾ったのだから」

 

えっ~!

 

そういう考え方なんや!!

 

そのドーティは自分用の土産として日本にもって帰ります~(^^)/

 

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それ以降、何か落ちていないか、常に視線を路上に向けていました~(笑)

 

話を戻します。

 

「宗教は?」とよく聞かれました。

 

それほど信仰心を持ち備えていませんが、「仏教」と答えています。

 

仏陀はヒンドゥの神ヴィシュヌの化身の1人なので、仏教徒とわかると、距離感が狭まりました。

 

他にも、サラスバティは弁財天、ガネーシャは歓喜天、シヴァ神は大黒天、ブラフマーは梵天、ラクシュミーは吉祥天……とインドの神々が仏教に多く採り入れられています。

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日本にいると、普段、あまり宗教について意識したことがありません。

 

でもインドに来てから、人間の信仰心って何なんやろう~と常に頭の中に疑問符が浮かんでいます。

 

それと、ぼくがライフワークにしている「ケルト」の信仰、つまり古代ケルト人のドルイド教もヒンドゥ教と同じように多神教なので、新たな刺激を受けることができました。

 

多神教と一神教。

 

なぜ人は2つの「ベクトル」を持ったのか。

 

これも面白いテーマだと思いました。

-南インド紀行(2015.2.14~27)

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プロフィール

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。