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12月 23

愛こそはすべてを描き上げたイタリア映画~『ミラノ、愛に生きる』

明日がクリスマス・イブ。
あと1週間余で2011年のエンディングですね。
今年の映画の見納めにこんな作品はいかがですか。
『ミラノ、愛に生きる』
純然たるイタリア映画です。
     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆
ミラノ(1)
人間には本能的に自由を希求する性がある。
それをメロドラマで目一杯、噴出させた。
贅沢な造りの映像が、めくるめく禁断の愛をより深化させ、強烈な余韻を残す。
過激さと大胆さに胸がスカッとする、そんなイタリア映画だった。
エンマ(ティルダ・スウィントン)は繊維業で財を成したミラノの大富豪のマダム。
3人の子供を育て上げ、恵まれた生活を送っているが、どこか翳りがある。
それは居心地の悪さから生じる一種の疲れなのか。
彼女は異邦人。
1970年代、夫に見初められ、ソ連からこの家に嫁いだ。
ロシア人であることを捨て、イタリアの上流階級に同化しようと努めてきた。
とはいえ、自由を求めて故国を去ったのに、そこに自由がなかった。
このパラドックスが物語の基盤を成す。
言わば、「籠の鳥」のような主人公が愛の力によっていかに羽ばたくか、そこを濃厚に描き出す。
ミラノ(2)
エンマを目覚めさせたのはある料理人。
どんな男なのかは映画の中でとくとご覧いただきたい。
許されざる状況、生活環境の違い、年の差、偶然性。
まさに恋愛映画の極みだ。
運命の男が調理した一品を口にした時の彼女の潤んだ瞳。
虚から実へと転化した瞬間を見事に表現していた。
料理の数々がこの映画をふくよかに彩り、予期せぬ結末をも用意する。
冷たい微笑しか浮かべなかった主人公が恋を謳歌する娘のように変身していくところが白眉。
ミラノ(3)
抑圧的なミラノの陰鬱さと、愛する人との逢瀬の場である地中海の保養地サンレモの眩いばかりの明るさ。
その対比が程よいリズム感を与える。
ルカ・グァダニーノ監督は、やや古風とはいえ、華麗で奥行きのある映像を構築した。
原題の意味は「私は愛」。
うーん、納得。
ラストシーンからエンマの真の人生が始まった。
2時間
★★★
☆24日から大阪・梅田ガーデンシネマで公開
(日本経済新聞2011年12月16日夕刊『シネマ万華鏡』。ブログへの掲載を許諾済み。無断転載禁止)

2 comments

  1. 恭子

    イタリアが舞台になった映画は、alan・ドロンの太陽☀️がいっぱいでしょうalanは、生粋のパリジャンですが夏️☀️をNiceで過ごしているそうなのよ❤️私は、フランスひいき&フランス文化が好き&都会が好きなのでVIENNA&NAPOLI&フランスの香りがする所に行きたいわよ♥️生粋のパリジャン&ミラネーゼが好きなのよ❤️お洒落だわ

    1. admin

      Niceの夏は素晴らしいですね。ただ、昨今、中国人の団体さんがどっと押しかけており、独特な雰囲気になっています。
      昨年、訪れて、吃驚しました。
      フランスではありませんが、ミラネーゼがお好きということですので、こんな映画が公開中ですよ。
      『LORO 欲望のイタリア』。イタリアの元大統領の素顔に、絢爛豪華な映像で迫っています。
      フェデリコ・フェリーニのような……。

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