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5月 30

センチメンタリズムの結晶、『二十四の瞳』~♪

今日は日本映画の名作を~。
24の
『二十四の瞳』(1954年)--。壺井栄の同名小説を名匠・木下恵介監督が銀幕に甦らせた文芸映画の名作です。
日本の反戦映画のなかで、かくもセンチメンタリズムに徹して描かれた作品はあったでしょうか。甘っちょろいと批判しているのではありません。もう二度と戦争は嫌だという気持ちを素直に引き起こさせるのだから、すごい映画だとぼくは思っています。
昭和3年、のどかな小豆島の岬の分校に、「おなご先生」として赴任してきた大石先生(高峰秀子)が、12人の教え子たちと、それこそ裸でぶつかり合い、心と心をひとつにしていきます。どこまでも誠実さと思いやりの精神に基づいた教育なのだから、もちろん、いじめなどあろうはずがありません。
子どものいたずらで脚を骨折した先生を見舞おうと、教え子たちが遠い道のりを泣きながら歩いていく健気な姿、修学旅行で出かけた金比羅さんで、貧困ゆえに学校を辞めて奉公に出された教え子との邂逅……。どのエピソードも胸がキュンとなり、知らぬ間に涙がこぼれ落ちてきます。
大石先生が本校へ転校したころから、軍国主義的な空気が濃厚になってきます。「ぼくは強い兵隊さんになるんや」と胸を張る男の子に対し、先生はもう何も言えなくなる……。やがて彼女は結婚し、子どもたちに軍国教育は教えられないと学校を去っていくのです。
戦争が始まるや、青年になった男の教え子たちは意気揚々と出征していきます。が、彼女の夫を含め、彼らの半分以上が戦死。先生は泣くしかなかった。
戦後、再び教壇に戻った彼女は、戦争で亡くなった教え子の子どもが何人か学んでいることを知り、またも涙する。「泣きミソ先生」と子どもたちからあだ名をつけられた大石先生だが、ぼくの涙腺も緩みっぱなし。ほんま、この映画には、よぉ泣かされますわ。
声高に反戦を訴えていない分、作品のテーマがよりいっそうズシリと心に響きます。穏やかな瀬戸内の海を背景に、全編に流れる小学校唱歌がまたたまらなく美しかったです。
                      (「うずみ火」2007年2月号より)

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