武部好伸公式Blog/酒と映画と旅の日々

ケルト文化に魅せられ、世界中を旅するエッセイスト・作家、武部好伸。映画と音楽をこよなく愛する“酒好き”男の日記。

スリランカ紀行(2019.4.1~4.10)

スリランカ紀行(2) 2日目~4月2日

投稿日:2019年4月12日 更新日:

27年ぶりのコロンボは、都市開発が進み、やはり様変わりしていました。

かつての首都です。

現在の首都は隣接するスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ。

コロニアル風の古い建物がどんどん壊され、味気ない無機質なビルが建てられています。

コロンボのラウンド・マークともいえる高さ350メートルの放送塔ロータス・タワーにはびっくりしました❗

ロータスタワー

それでも、市内中心部は、大英帝国時代の古色蒼然とした街並みが残っています。

大英帝国植民地時代のセイロン総督府。現在は国立博物館

かつての商館❔

南インド・チェンナイ(マドラス)にもよく似た建物がありました

ひと昔前の老朽化した建物

下町の雑然としたところはインドと同じですね。

こんなんめちゃめちゃ好きですねん(笑)。

インドと違う点がいろいろあります。

全体的にこざっぱりしている。

街中のクラクションがそれほどうるさくない。

街中のゴミも比較的少ない。

つまりクリーンです

人の当たりが柔らかい。

これはあとで触れますが、仏教徒が多いのが影響していると思われます。

☆     ☆     ☆     ☆     ☆

コロンボ中心部にあるフォート駅はもろに大英帝国時代の雰囲気をかもし出しています。

コロンボの中央駅とも「いえるフォート駅

そこから鉄道で南へ120キロのゴール(Galle)へ向かいます。

現地では、「ガラ」、「ガッラ」と発音されてますが~。

つまりコロンボは通過するだけ。

スリランカで列車に乗るのはこれが初めて。

切符売り場で、押し合いへし合い状態になると思っていたら、意外や意外、整然と買えました(笑)。

2時間15分ほど乗るんですが、2等で180ルピー(約108円)、3等なら100ルピー(約60円)。

インドともども、公共交通機関は信じられないほど安いです。

切符が今や懐かしい硬い紙のタイプ。

駅構内が何ともレトロでした。

いろんな車両があり、鉄道オタクでなくても、見ているだけで楽しい。

年季の入ったディーゼル機関車に引かれた列車がプラットホームに入ってくるや、先ほどの切符売り場とは一転、我先にのカオス状態に~👀‼

「アフター・ユー(お先に)」はダメで、「アフター・ミー(こっちが先や)」の気持ちに切り替え、何とか席を確保。

白人の旅行者も「アフター・ミー」の精神で押し退けてはりました~😲。

車内では次々と弁当、ドリンク、果物、新聞などを売りに来はります。

これはインドとまったく同じ。

エアコンなんてあるわけがなく、天井の扇風機が時々、油を落としながら、ギュンギュン音を立てて回っています。

正直、効果なし(笑)。

動き出してしばらくすると、進行方向の右手に雄大なインド洋(厳密に言えば、アラビア海)が見えてきました。

これは感動モノでした~❗

この先、列車はずっと海岸沿いを走行するんです。

最高の景色にうっとり~🙆

一応、急行ですが、速度が遅い分、よけいに風情を満喫できます😃

途中、ビーチが広がる駅に停車したとき、通路を隔てて横のお兄ちゃんに「写真撮れる時間あるかな」と聞くと、「大丈夫やと思う」との返答。

この駅で、えらいこっちゃ!がありました

その言葉を信じて、一眼レフを持ち出し、50メートルほど離れた海岸で撮影をしていたら、「Come back~❗」「Come back~❗」の声が背中から聞こえてきました。

振り向くと、列車が動き出してた~❗

わっ❗ こら、あかん。

えらいこっちゃ❗❗

ついに出ました、この言葉が~😣

必死のパッチで列車に向かって猛ダッシュ~🏃💨🏃

乗客の視線を一斉に浴びていたのをしかと感じて……、あぁ、恥ずかし。

何とか後ろの方の車両に飛び乗れました。

そのとき大柄の白人女性(あとでノルウェー人と判明)が手を差し伸べてくれて、大助かり~😁

やれやれ。

座席に戻ると、くだんのお兄ちゃんが「めちゃ足、速いやん」と。

あんたの言葉を信じたばかりに……、ほんまに、もう~😡⚡

でも、彼は車掌でも何でもないんですから、無碍に責めるわけにはいきません。

こちらの心情を知らず、我関せずといった感じで、申し訳なさそうにしてないところが、何ともおおらかと言いましょうか。

この30分後、再び「えらいこっちゃ!」が発生しました。

あの青年が下車し、次の次の次の(?)駅から乗ってきた白人女性がぼくの隣の席に座り、しばらくしてからある駅で下車しはりました。

列車が動き始めたころ、彼女が座ったシートにふと視線を落とすと、赤いパスポートが~❗

「わっ、忘れはったんや~❗」

そのパスポートを手にし、あわてて乗降口に来ると、彼女の姿はすでになかった……。

えらいこっちゃ❗ えらいこっちゃ❗

自分のことではないけど、めちゃめちゃ焦った。

こういう場合、どうしはりますか?

やっぱり車掌さんに言いますよね。

ぼくもそうしました。

しかし、車両をくまなく探したのに、車掌さんがいなかった❗

道理で一度も検札に来なかったはずや。

えらいこっちゃ❗

イギリスのパスポートで、持ち主はメアリー・ゴードンさん。

名前からして、スコットランド人です。

さぁ、どうしょう、どうしょう。

次の停車駅で駅員に渡すのが普通ですよね。

でも、そのときは動揺していてその考えが浮かばなかったんです。

荷物を他の乗客に見てもらい、一番、先頭の車両へ。

そして次の停車駅で、一旦、プラットホームに下りて運転席の扉をドンドンと叩きました。

運転士がびっくりした顔で扉を開け、事情を伝えてパスポートを渡しました。

「どの駅でした?」と言われても、わかりまへんがな。

「とにかくひとつ前の停車駅です」としか答えようがなかったです。

運転士さんはすぐさま携帯で連絡し、「オーケー。ありがとうございました」と。

はて、その後の顛末はいかに?

今でもちゃんとメアリーさんの手元に無事、パスポートが戻ったのか気になっています。

そんなこんなでゴールに着きました。

何はともあれ、この路線は超オススメです❗

☆     ☆     ☆     ☆    ☆   

コロンボからちょっと刺激的な列車の旅で南部の街ゴールに着き、城壁内の旧市街へ足を向けました。

インド洋に突き出た岬に位置する旧市街にはコロニアル風の建物がびっしり建ち並んでおり、瞬時にタイムスリップ。

なるほど、ユネスコの世界文化遺産に登録されているのを納得しました。

魅力的な建物は翌日、じっくり視察するつもりです。

宿屋は静かな路地裏にあるゲストハウスに決め、すぐさま街中を散策。

電気事情が悪いのか、思い出したように停電します~😅

これは27年前と変わってない。

インフラ整備が遅れているのでしょうかね。

夕方、アラビア海に沈む夕陽を眺め、心が打たれました。

今日一日の疲れをすべて癒やしてくれる、そんな安らぎの情景……。

ほんまに素晴らしかったです。。

-スリランカ紀行(2019.4.1~4.10)

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プロフィール

プロフィール
武部好伸(タケベ・ヨシノブ)
1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。