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筆者の詳細

登録日時: 2012年3月19日

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武部好伸(タケベ・ヨシノブ) 1954年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒。元読売新聞大阪本社記者。映画、ケルト文化、洋酒をテーマに執筆活動に励む。日本ペンクラブ会員。関西大学非常勤講師。

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11月 13

「忘れられた戦争」の終結から100年~

「忘れられた戦争」……。

こう呼ばれる第一次世界大戦の終結から100年を迎えました。

「ケルト」の取材でヨーロッパ各地の田舎に足を向けると、どんな小さな町や村でもこの大戦で命を失くした戦没者慰霊碑を見かけます。

英国ウェールズ南東部チェプストウの町の慰霊碑

そこにはしばしば花束が手向けられており、今なお「忘れられていない」ことを実感させられます。

しかし大戦から21年後、さらに取り返しのつかない悲劇が起き、人間の愚かしさを露呈してしまいました。

きのうパリで開催された式典でのフランス大統領マクロンのメッセージ。

「自国の利益が第一で、他国は構わないというナショナリズムに陥るのは背信行為」

胸に染み入りました。

某超大国のT大統領、耳の穴をかっぽじって聞きなはれ、大人になりなはれ!!

11月 09

『写真アルバム 大阪市の昭和』、完成しました!

執筆陣の1人として関わった『写真アルバム 大阪市の昭和』(樹林舎)が完成し、先ほど贈呈本が届きました!

600枚の写真を盛り込んだ分厚い写真集です。

生まれ育った大阪の知らない風景がいっぱい載っています。

亡き父親の写真も確かにありました(笑)。

こういう形で故郷・大阪に「恩返し」ができてうれしいです。~(^_-)-☆

この写真集は明日、刊行されます。

すでに予約で完売かな~( ;∀;)

古巣・読売新聞の10日付夕刊社会面にドカーンと載りました~(^.^)/~~~

10月 29

ちょかBand、天満音楽祭で弾けました~(^_-)-☆

天満音楽祭でのちょかBand。

パンフレットの一番下にちゃんと載っていました~(笑)

会場はダイニング・バー北浜Bar One。

満席の中、20分間という制限にめげず(笑)、楽しくステージを務めさせていただきました~🎵

でも、でも、案の定、MCの時間が少なかった~😅

ちょかBandの「追っかけ」の人(笑)、大学関係者、教え子たちも駆けつけてくれ、えらい盛り上がりました~🎵

大半は初めての人でした❗

ライブの前、樹木希林さんの遺作で、茶道の世界を描いた映画『日日是好日』を観賞し、心が平穏になっていたのが大きな布石になっていたのかもしれません。

心動じず……(笑)。

曲目は以下の通りです。

『今宵のCジャムブルースを』

『シネマはお好き?』

『プカプカ』

『やけ酒ブルース』

何はともあれ、すべての方々にありがとうございました❗

10月 27

サリンジャーに会いたい! 瑞々しい青春譚~『ライ麦畑で出会ったら』(27日公開)

20世紀アメリカ文学を代表する青春小説の金字塔『ライ麦畑でつかまえて』(1951年刊行)。

この作品に影響を受けた人は少なくないだろう。

本作で長編デビューを飾ったジェームズ・サドウィズ監督もその1人。

思春期のほろ苦い体験を瑞々しい映像で再現させた。

©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED

16歳のジェイミー(アレックス・ウルフ)は内省的で孤独な高校生。

日々、悶々とする中、『ライ麦畑で~』を脚色し、演劇サークルでの舞台化を思い立った。

欺瞞だらけの大人社会に不満をぶつける小説の主人公強く共感していたからだ。

いや、自分の分身と思っていたのかもしれない。

©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED

劇にするには、著者J.D.サリンジャーに許可を得なければならない。

時代は1969年。

すでにこの人は作家活動を止め、田舎で隠遁生活を送っていた。

どこで暮らしているのかわからない。

ジェイミーは女友達のディーディー(ステファニア・オーウェン)と共に憧れの小説家を探し求める。

©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED

分かりやすい内容だ。

とある事件が発生し、高校の寮を飛び出すくだりは小説とそっくり。

原作を知っておれば、なおさら興味深く観られるだろう。

前半、誰にも打ち明けられない胸の内をカメラに向かって独白するシーンが何度か映る。

意図はわかるのだが、物語の流れを中断させていたように思えた。

ロードムービーの開放的な空気がサリンジャー本人との対面で一転、凝縮する。

©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED

伝説の作家に扮したクリス・クーパーのシブイいぶし銀の演技が見ものだ。

トウワタの種子が風に舞う野原がたまらなく美しい。

©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED

少年の純粋でひたむきな気持ちがその光景に宿っていたように感じられた。

『ライ麦畑で~』へのオマージュ(賛辞)。

本作にはそれが溢れんばかりに出ていた。

こういう自伝的な青春譚には心がくすぐられる。

1時間37分

★★★★(見逃せない)

☆10月27日(土)~ テアトル梅田、MOVIX京都
 11月10日(土)~ シネ・リーブル神戸

☆配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

©2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED

(日本経済新聞夕刊に2018年10月26日に掲載。許可のない転載は禁じます)

10月 23

映画評論家……についての思い

先日、映画絡みの講演を依頼され、その担当者とのやりとり。

「肩書は映画評論家ですよね」

「ちゃいますよ」

「映画関係の本を何冊も出しておられ、新聞にも映画評を寄稿しておられるでしょ」

「はい、でも映画評論家とちゃいますねん。エッセイストです」

「???」

「評論なんてしてませんから」

「???」

以下、ぼくの持論です。

日本にはやたらと「映画評論家」と称する人が多いです。

「映画ライター」とするよりも箔がつくからでしょうかね。

世間的にもその方が通りがええかもしれませんね。

でも、ガチンコで評論するとなるとほんまに難しい。

ぼくはできませんし、その気もありません。

それよりも自分で「表現」したいです!!

だから、正直、評論家というのが好きではありませんねん(笑)。

他の芸術・芸能・文化の領域を見ると、文芸評論家、美術評論家、音楽評論家……がいかに少ないか。

良く言えば、映画は娯楽性が強く、近しい存在にあるからなのでしょう。

悪く言えば、映画を軽く見すぎている……。

欧米で、映画評論家と名乗っている人はほんまに少ないですよ。

まぁ、社会から「映画評論家」と認められておれば、それは全くノープロブレムですが、あまりにも「自称」の人が多いような気がします。

「ジャーナリスト」の肩書もそうですね(笑)。

その他いろんな分野で、少し専門知識があると、安易に「〇〇評論家」の肩書をつけてしまいます。

日本人は「評論家」がお好きなんですね。

日ごろ思っていることをつらつらと書かせていただきました。

10月 22

隆祥館書店「作家と読者の集い」200回突破記念パーティー~(^_-)-☆

大阪市内の中心部、谷町六丁目にある町の本屋さん、隆祥館書店が8年前から1か月に2回のペースで「作家と読者の集い」を続けておられます。

このほど200回を突破したので、その記念パーティーが昨夜、中之島の対岸にあるカフェ・レストラン「LOVE CENTRAL」で開催されました。

店を仕切ってはる二村知子さん、お疲れさんでした&おめでとうございます~!!

この集い、ぼくは4回お声がかかりました。

『ウイスキー アンド シネマ 琥珀色の名脇役たち』(淡交社)、ウイスキー専門雑誌『Whisky World』(ゆめディア)の渡部社長とのジョイント・トーク、『大阪「映画」事始め』(彩流社)、『ウイスキー アンド シネマ 心を酔わせる名優たち』(淡交社)の出版記念トークイベントでした。

パーティーには、作家、出版社の編集者、マスコミ関係者、隆祥館書店のファンら約100人が参加。

『貧困大国アメリカ』で一躍、脚光を浴び、このほど最新刊『日本は売られている』(幻冬舎新書)を出された注目の国際ジャーナリスト、堤未果さんも来られていました。

堤さんの旦那さんは参議院議員の川田龍平さん(立憲民主党)です。

古巣新聞社の科学部時代、HIVの取材で一度、お会いしたことがあります。

昨日、堤さんから紹介されたときはそのことを失念しており、今朝、「川田さんに取材した!」と思い出しました~(笑)

そのご夫婦と関大で教鞭をとってはる森下先生をまじえて4人で記念撮影~📷

創業者のお父さんの遺志をちゃんと受け継いだ二村さんの「本の力」を信じるピュアな熱意にただただ頭が下がる思いです。

ほんまにエライ!

「継続は力なり」です。

しんどいとは思いますが、これからもぜひ続けてくださいね~👍

ぼくもまた集いに呼んでもらえるよう、本を書き続けていこうと改めて決意しました~💦✒💦

本への愛にあふれる素晴らしい会でした。

最後は全員で記念撮影~(^_-)-☆

10月 21

Otomo!の「大阪ストーリー」~『川面にそよぐ渡船巡り~飾り気のない大阪に触れる』

Osaka Metro(旧大阪市営地下鉄)のアプリ「Otomo!」で連載中のエッセー第4弾です。

テーマは「渡船」。

まだ暑かった8月末に書きました。

秋が深まりつつある今と季節感が異なりますが、ご了承くださいませ~(笑)

   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

短パン、Tシャツ、サンダル履き、サングラス。こんなラフな身なりでママチャリに乗り、残暑の厳しい8月下旬、渡船巡りをしてきました。

年に一度、必ず渡船に乗りたくなる「病気」なんです。

時候がよければ、ランニングで行きますが、歩いていくのもなかなかええ塩梅。

今回は趣向を変え、自転車にしました。

どうして渡船なのか? 

それはちょっぴりレトロ感があり、普段着の大阪と触れ合えるからです。

「水の都」の異名を取る大阪には古くから渡し舟が各地にありました。

明治40(1907)年、29カ所の公的な渡船場が設けられ、戦後は昭和23(1948)年、15カ所で再開しました。

現在は8カ所。

いずれも大阪市南西部の港湾エリアにあります。

1カ所だけ民間に業務委託していますが、すべて大阪市が管理。

公道と同じ位置づけなので、乗船料は不要です。

ただし、乗れるのは歩行者と自転車だけ。

自宅(西区新町)からペダルをこいで木津川沿いを南下し、千鳥公園(大正区)の東にある落合上渡船場へ到着しました。

待合所から眺める木津川は意外と川幅が狭い。

東側にある対岸の渡船場(西成区)が目の前に見えます。

乗船はぼくだけかなと思っていたら、運行時間の直前になってぞくぞくと利用者がやって来ました。

みな近所の人たちで、渡船の時間をちゃんと把握してはるんですね。

大半は自転車の人。

落合上渡船場。スロープを上がると、その下に桟橋があります

「こんにちは」

「今日も暑いですね」

船を操舵するおじさんに口々に挨拶し、みなさん船に乗り込みます。

運航時間は2分ほど。

その間、潮の香りをかすかに含んだ川風がそよぎ、得も言われぬ心地よさに酔いしれました。

立ったまま。揺れがあると危険なので、船上での写真は御法度です。

対岸の渡船場に着くと、「ありがとうございます」、「おおきに」と必ずお礼を言い、「お気をつけて」の言葉を背中に受けて下船。

こういう言葉のキャッチボールは理屈抜きに心が和みますね。

渡船は対岸に接岸して利用者を乗せると、すぐにUターンします

500メートルほど下流の落合下渡船場から今度は木津川を西側へ渡り、さらに自転車で南へ。

この辺り、大きな工場が建ち並んでいます。

日曜日なので閑散としていましたが、平日ならトラックが頻繁に行き交っていることでしょう。

モダンな落合下渡船場の待合場

流麗なループ橋の千本松大橋を仰ぎ見る千本松渡船場。

そこでサイクリングの一団と出会いました。

中年男の5人組。

訊くと、豊中から堺の浜寺をめざしているそうで、「渡船を乗るのが楽しみですわ」とリーダー格の男性が日焼け顔で答えてくれました。

所どころ渡船場の案内板が設置されています

千本松大橋の下を航行する渡船

このあとOsaka Metro四つ橋線の北加賀屋駅(住之江区)近くでランチを取り、南港通を西へ進み、木津川渡船場へ。

数えると、木津川に4か所も渡船場があります。

対岸には中山製鋼所。

でっかい! 

阪神工業地帯の一翼を担っているのを肌身で感じられました。

木津川運河の向こうにデンと構える中山製鋼所

渡船で木津川を北へ渡り、工場街の船町(大正区)を縦断して先端にある船町渡船場へ来ると、「早く、早く!」と職員さんの声。

「わっ、すんません!」

あわてて乗船したら、すぐに動き出しました。

間一髪セーフ。

船町渡船場では間一髪、乗船できました

木津川運河を渡ったところが鶴町(大正区)です。

整然と団地が建ち並ぶ中を北上し、アーチが美しい千歳橋の下にある千歳渡船場へ来ました。

ここは大正内港の付け根に当たります。

多くの貨物船が停泊しており、向こうに緑豊かな千鳥公園が望めます。

視線を左へ移すと、弁天町(港区)の高層ビル群。

素晴らしい景観にうっとりさせられました。

穏やかな情景を見せる大正内港

弁天町の高層ビル群を望む

台湾から大阪観光に来た家族連れがいました。

「こんな渡船、国(台湾)にはないです。タダというのが嬉しい」

小柄なご主人が片言の日本語で話してくれました。

今や渡船はちょっとした観光の目玉になっており、外国人だけでなく、国内の観光客も渡船を乗りに来ています。

千歳渡船は一番距離があり、対岸の北恩加島(大正区)まで約4分かかりました。

途中、悠然と航行する貨物船のそばを水上オートバイが水しぶきを上げて突っ走っていきました。

なかなか刺激的な光景でした。

ちょっとした旅情を味わえる千歳渡船

7つ目は尻無川の甚兵衛渡船場です。

大正区泉尾と港区福崎を結んでいます。

この付近、学校が点在しており、平日の朝晩は通学する生徒で混み合い、二隻の渡船がフル稼働します。

船内に電車の車内と同じ吊り革がありました。

利用者が最も多い渡船です。

この日はしかし、夏休みの日曜日、いたってのどかな風情でした。

利用者が一番多い甚平衛渡船場

「毎日、利用してはるんですか」

「ええ、買い物に行くときは便利やしね。生まれたときから渡船に乗ってますよ。ハハハ」

同船した年配の主婦の言葉から、渡船が日常に欠かせない〈市民の足〉になっているのがよくわかりました。

港区側の甚兵衛渡船場から見た尻無川水門

甚兵衛渡船場から北西へ約2.5キロに位置するのが残る1つの天保山渡船場です。

海遊館のある港区築港とUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のある此花区桜島を結んでいます。

安治川をはさんでの二大観光スポット。

そのため近隣住民に加え、観光客がめっぽう多く、USJのアメリカ人従業員の姿もよく目にします。

暑さでいささかバテ気味となり、今回は天保山渡船をパス。

甚平衛渡船場から自宅へ直帰しました。

飾り気のない庶民的な空気をたっぷり吸え、思いのほか心の洗濯ができました。

10月 07

またまた元教え子の結婚式、富士山を望む静岡・日本平で~(^_-)-☆

最高気温が34度!

7日、真夏に戻ったような静岡市の日本平ホテルで、大学の元教え子、みっひー(岡田美海さん)の結婚式に出席しました~ 💒

富士山と駿河湾をセットにした絶景にガーーン!!

完全に目が奪われました。

彼女は3年前卒業の関大JP8期生で、非常に芯のある学生でした。

卒業後、生まれ故郷の静岡で、大学で習得したことを活かして仕事に励んでいます~ 😁

今日は全身から「幸せオーラ」をめいっぱい放ってました~ 🌼

旦那さんは軽やかな感じの好青年でした。

同期生のなお、そのかとも会えて、よかった、よかった~ ❗

ぼくは専任の教員ではなく、単なる非常勤講師なのに、これまで教え子たちから数えきれないほど結婚式に招待されました。

ほんまにありがたいと思うてます。

いつも願うことは……、ただただ幸せになりや~ ❗ ❗

10月 06

恋愛映画では済まされない濃密な人間ドラマ~『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』

リーマン・ショックから10年を迎えたが、世界最初のバブルは17世紀のオランダで起きた。

チューリップの球根への投機熱が高じた「チューリップ・バブル」。

この異常な社会現象を背景にして、本作は「禁断の恋」を劇的に描き上げた。

©2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

海外貿易で活況に沸くアムステルダム。

孤児で修道院育ちの娘ソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)が熟年の富豪コルネリウス(クリストフ・ヴァルツ)と結婚する。

この俳優が善人に扮するのが見ものだ。

彼女は安定した生活に満足するも愛がない。

メイドのマリアと魚売りの青年との愛に溢れた逢瀬を対比させ、もどかしい胸の内を際立たせる。

当時、絵画収集が大ブーム。

コルネリウスが若い情熱的な画家ヤン(デイン・デハーン)に新妻の肖像画を描かせた瞬間、2人の間に恋の炎が燃えたぎった。

©2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

主人公がフェルメールの名画のモデルとよく似たポーズを取った時、ハッとさせられた。

原作は絵画から着想を得たという。

フェルメールの本名も同じヤン。

何とも意味深である。

後半、マリアと魚売りのカップルの顛末から想定外の展開へと転がり込む。

奇抜な謀(はかりごと)を巡らすソフィアのしたたかさ。

伏線を周到に配した脚本が素晴らしい。

物語を動かすのが前述の「チューリップ・バブル」だ。

富の象徴である球根の酒場での競売シーンは熱気が迸り、圧倒される。

やがてバブルが崩壊し、クライマックスへと突き進む。

ジャスティン・チャドウィック監督は時代考証を完璧にして黄金時代のオランダを見事に再現させた。

球根を栽培する修道院の丁寧な描写には驚かされた。

©2017 TULIP FEVER FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

テンポも申し分ない。

欲望に突き動かされる人間模様。

そこにサスペンス色を濃厚に盛り込み、

上質な娯楽作に仕上げた。

単なる恋愛映画に終わらせなかったところを評価したい。

1時間45分  

★★★★(見逃せない)

☆6日から梅田ブルク7/T・ジョイ京都/シネ・リーブル神戸ほか全国ロードショー

(日本経済新聞夕刊に2018年10月5日に掲載。許可のない転載は禁じます)

9月 29

こだわりの映像~本格時代劇『散り椿』

作家、葉室麟の同名小説を映画化した本格時代劇。

主人公の凛とした生き方に胸が衝かれる。

カメラマン木村大作の監督第3作目。

ストイックなこだわりの映像が際立つ。

©2018「散り椿」製作委員会

葉室原作の『蜩ノ記』(2014年)でメガホンを取った小泉尭史が脚本を担当し、準主役の岡田准一が本作で主演を張った。

冒頭、雪中での立ち回りシーンに目が釘付けになった。

瓜生新兵衛(岡田)が刺客を次々と斬りつける。

ただならぬ緊迫感と静謐な佇まい。

それが本作の通底をなしていた。

江戸中期の物語。

18年前、藩の不正事件に端を発し、田舎に身を潜めていた新兵衛が病に伏す妻、篠(麻生久美子)から最期の願いを聞き、藩へ舞い戻る。

そこから不協和音が……。

軸となるのはかつての道場仲間で、今や側用人の榊原采女(西島秀俊)との確執。

篠をめぐる三角関係が最後まで尾を引き、観る者の心をざわつかせる。

©2018「散り椿」製作委員会

新兵衛の義弟、坂下藤吾(池松壮亮)と義妹、里美(黒木華)の存在が本筋を絶妙に支える。

原作では、2人は甥と旧友の妻だが、あえて設定を変え、主人公との適度な距離感を出した。

城代家老の石田玄蕃(奥田瑛二)がこれみよがしに悪役に徹し、勧善懲悪の世界へと引きずり込む。

この手の映画はやはりこうでないと収まらない。

富山、長野、滋賀……。

全編、ロケ撮影を貫いた。

カメラは奇をてらわず、真正面から登場人物を狙う。

ワンシーンにかなり時間をかけているのがわかる。

ただトーンの異なる映像が目につき、それが気になった。

不正の真相とは何か。

セリフを極度に抑えた演出でサスペンス色を添え、メリハリをつけた。

テンポをもう少し速めてもよかったかもしれない。

愛する人のために命をかける男に扮した岡田准一。

時代劇の顔が様になってきた。

1時間52分 

★★★(見応えあり)

☆28日から全国東宝系にて全国ロードショー

(日本経済新聞夕刊に2018年9月28日に掲載。許可のない転載は禁じます)

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